C型肝炎について
久留米大学消化器内科 准教授
肝臓病・消化器科・内科
鳥村 拓司
肝臓の病気には多くの種類がありますが、その中でも一番多いC型肝炎について説明します。
C型肝炎は、C型肝炎ウイルスが感染すると起こる病気で、一度感染すると多くの場合、慢性肝炎、肝硬変を経て、肝がんを引き起こすと言われています。
福岡県は全国でも有数のC型肝炎多発地域であり、大牟田も例外ではありません。
C型肝炎は、かかっていても殆ど自覚症状が無いため、献血や健康診断などで偶然に発見される場合が多いのですが、肝臓はじわじわと痛めつけられ、平均25〜30年すると、肝硬変から肝がんを発症する傾向にあります。肝がん患者さんの約80%はC型肝炎ウイルスを持っています。しかし、今はC型肝炎ウイルスに感染しても肝がんにさえ罹らなければ、医学の進歩により患者さんは長生きする事が可能です。
では、どのようにすれば肝がんに罹らずにすむか?
今唯一C型肝炎ウイルスを駆除できる薬はインターフェロンだけです。インターフェロン治療は副作用が多く、かつ長期間にわたるためかなり苦しい治療ですが、もしインターフェロンによってC型肝炎ウィルスが駆除できたら、肝がんに罹る危険は殆ど無くなります。今のインターフェロン治療で、約50%の患者さんが治っています。
もしインターフェロン治療ができない場合や、効果がなかったときは次の手段として、可能な限り肝機能(GOT,GPT)を低く保つことが大切です。そのためにウルソの内服や強力ネオミノファーゲンCの注射が有効です。GOT,GPTの高いC型肝炎の患者さんは低い患者さんに比べ肝がんに罹る危険性が高い傾向にあります。
日常生活ではアルコールをなるべく控えることが大事です。C型肝炎ウイルスとアルコール両方で肝臓を傷めると病気の進行が早くなります。
最後にC型肝炎の患者さんは、自覚症状がないからといって病気が治ったわけではないので、定期的に病院で肝機能検査やエコー、CT検査を受けてください。不幸にして肝がんを発症しても速く発見できれば適切な治療で長生きすることは十分に可能です。
2007年11月1日