冬季の感染症について
(インフルエンザ)
インフルエンザは、風邪と混同される事がありますが普通の風邪と違い
〈インフルエンザウイルス〉に感染した事が原因でおこる感染症です。
【感染経路】
感染経路は、感染した人が咳やくしゃみをした時に口や鼻から飛び出したウイルスを含んだ飛沫(小さな水滴)が原因となります。その飛沫を鼻や口から吸いこみ、粘膜に接触する直接的経路と飛沫がドアの手すり、電車のつり革等を介して接触する間接的経路があります。
【潜伏期間・感染可能期間】
潜伏期間は1~3日が多いと言われ、発熱等の症状が出てから回復までに1週間程度かかります。
感染力が強く、潜伏期から回復期の段階では、他の人に感染させてしまう可能性がありますので
発症してからは、感染の拡大を防止する為にも外出を控えて家で休養する又人と接する際にはマスクの着用・手洗い・うがいの徹底をしましょう。
【特徴的な症状】
① 38℃以上の熱 ②関節痛や筋肉痛、倦怠感等の全身症状 ③鼻水、咳、喉の痛みといった症状が
現れます。しかし38℃以上の熱がなくても、急な発熱や上記のような症状が見られる際にはインフルエンザの感染を疑い早めに医療機関を受診しましょう。
【検査法】
インフルエンザに感染しているかを調べる方法はいくつか有りますが、一般的な病院では[迅速診断法]という方法が活用されています。
迅速診断法:鼻の奥や喉から小さな検査器具(綿棒等)で拭い液を採取し、インフルエンザウイルスに感染しているか10分程度で判定します。
[治療法]
インフルエンザに感染していた場合風邪で出される咳や喉の痛みを押さえる様な薬に加え、インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬が処方されます。(タミフル・リレンザ・イナビル等)
市販薬など自己診断で服用する事は避け、必ず医師の指示に従い効果的な処方をしてもらいましょう。
[予防法]
手洗い・うがいと体調管理(十分な休養とバランスのとれた食事)が大切です。
又インフルエンザワクチンの予防接種により、万が一感染しても発症をある程度抑えたり、重症化を予防出来ると言われています。
・ワクチンは、接種後実際に効果がでるまでには2週間程度、効果は約3~5ヶ月続くので
毎年11月から12月中旬までにワクチン接種を受ける事が望ましいでしょう。
(ノロウイルス)
ノロウイルスの感染は主にカキ等の二枚貝や海産物、汚染された水の飲水を摂取する事により感染する
一次感染と、感染した患者から何等かの方法でウイルスがもたらされ感染する二次感染があります。
(流行時期は、11月~2月頃)
【感染経路】
・飲食物を介する感染:
①食用生カキなど二枚貝からの感染が有名ですが、対策が講じられ減少傾向です。
② 調理者からの2次汚染が原因の食品媒介型感染は増加傾向です。
・飲食物を介さないヒトからヒトへの直接感染:
①発症者の糞便や嘔吐等に接触した手指による接触感染
②直接の接触がなくても嘔吐行為(吐物)又汚物から舞い上がる飛沫を間近で吸入し経食道的に嚥下し、
消化管へ至る感染
③嘔吐や下痢の処理が適切におこなわれなかった小粒子が掃除等の物理的刺激によって
空気中に舞い上がり経食道的に嚥下し消化管へ至る感染等があります。
【潜伏期・感染可能期間】
潜伏期間は平均で12時間~48時間(非常に短い)と言われています。
症状が出てから回復までは、平均で1~2日ですが、ウイルス自体は腸の中で1~2週間は生き続けます。
(長い場合は1ヶ月間にわたりウイルスが排出される事もあります)
症状消失からも48時間は強い感染性があるとされています。
【特徴的な症状】
① 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛 ②通常は無熱・微熱程度(38℃程度)であまり高くはありませんが、
時には39℃以上の発熱を呈する事もあります③下痢(数回~10回/日)に比べ、吐き気・嘔吐が強く
一日に数回~数十回に及ぶ事があり脱水症状が悪化する前に早めに医療機関を受診しましょう。
【検査法】
ノロウイルスに感染しているか調べる方法はいくつかありますが、保険適応条件がある為
自費となる場合あります。
迅速診断法:綿棒等で便を採取後ノロウイルスがいるか15分から30分程度で判定します。
・保険適応に制限があり、3歳未満、65歳以上、抗ガン剤治療中等が対象でそれ以外は自費になる
場合があります。(各医療機関により金額が異なりますので詳しくは窓口までお尋ね下さい)
・感染の確定診断には有効ですが、感染していても2割程度陰性になり見逃す可能性もあります。
正確に検査する為には、遺伝子検査もありますが結果が出るまでに時間がかかる上に高額になります。
【治療法】
・通常は無治療・対処療法のみで2~3日で軽快します。
(嘔吐や下痢で水分やミネラルが足りなくなりがちなので水分の補充をする必要があります)
(嘔吐による誤嚥・窒息に注意が必要です)
【予防法】
・感染力は非常に強いので、下痢・嘔吐患者(吐物・汚物)に接触する可能性がある際には、
必ずマスク・使い捨て手袋(可能なら使いすてエプロン)を着用し、処理後には流水と石鹸による
手洗いをしましょう。(アルコールが効きにくいため物理的にウイルスを落すゴシゴシ手洗いが必要)
・吐物・汚物の処理には0.1~0.5%、お掃除には0.02~0.05%の次亜塩素酸ナトリウム
(泡ハイター等)が有効です。
※感染予防には、手洗い(手指消毒)と衛生的なお掃除が大切です。
感染委員会一同
2016年2月8日